スラッジを溶解する潤滑剤の自浄作用とは?おすすめの対策と製品を紹介

機械トラブルを未然に防ぎ、長期間の安定した運転を実現するには、スラッジを分解する自浄作用を備えた潤滑剤の使用が効果的です。
スラッジが蓄積すると、摩擦や温度の上昇によって機械部品が摩耗し、最終的には故障やパフォーマンスの低下を引き起こします。
その点、自浄作用のある潤滑油は、スラッジや不純物を効率的に溶解し、潤滑箇所を最適な状態に維持するために役立ちます。
この記事では、スラッジが発生する3つの原因から起こりうるトラブル、さらに防ぐ方法を詳しく解説します。
スラッジの発生を抑える潤滑油もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
スラッジのおもな発生原因
スラッジのおもな発生原因は、以下の3点です。
- 潤滑剤の酸化・劣化
- 高温環境下での潤滑
- 注油・メンテナンス不足
上記の要因が重なることで、スラッジの発生が進み、機械の正常な動作が妨げられるリスクが高まります。
ここからは、各原因について詳しく解説します。
なお、スラッジ発生のメカニズムについて詳しく知りたい方は、以下の記事を合わせてご確認ください。
【関連記事】スラッジを除去する3つの方法|発生予防につながる潤滑添加剤も紹介
原因①:潤滑剤の酸化・劣化
スラッジ発生原因の1つは、潤滑剤の酸化・劣化です。
以下のような要因によって潤滑油が酸化・劣化すると、スラッジの素となる不純物が溜まりやすくなります。
- 空気中の酸素
- 高温環境下での使用
- 不純物の混入 など
酸化が進むと、潤滑油の分子構造が変化し、スラッジを生成する化合物が生成されます。
スラッジはオイルの潤滑性能を低下させる要因の一つであり、機械内部に蓄積されることで、摩耗の進行や動作不良を引き起こします。
潤滑油の品質を保ち、スラッジの発生を抑えるには、酸化防止剤の入った潤滑油を選ぶことが重要です。
原因②:高温環境下での潤滑
高温環境下では潤滑油が熱劣化を起こし、スラッジが生成されやすくなります。
熱劣化とは、潤滑油が高温にさらされることで、化学的および物理的性質が変化し、性能が低下する現象です。
この過程で、潤滑油中の炭素成分が蓄積し、固体化することでスラッジが発生します。
また、潤滑油に含まれる添加剤も、高温によって劣化しやすくなります。
その結果、さらにスラッジの生成が進み、機械の動作に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
トラブルを防ぐには、高温環境に適した耐熱性の高い潤滑油を選ぶことが大切です。
原因③:注油・メンテナンス不足
潤滑油の交換や注油が不足すると、以下の理由からスラッジが発生しやすくなります。
- 摩擦や高温の影響
- 不純物の蓄積
- 潤滑性能の低下 など
潤滑油の供給が不足すると、潤滑箇所の摩擦が増加し、機械内部の温度が上昇します。
その結果、潤滑油が適切な粘度や品質を保てなくなり、スラッジが溜まりやすくなります。
また、定期的に潤滑油を交換しないと、金属粉や汚れが油中に蓄積し、スラッジを生成する原因になりかねません。
適切な注油・メンテナンスを心がけることで、スラッジの発生を抑え、長期的なメンテナンスコストの削減につながるでしょう。
スラッジがもたらす3つのトラブル
スラッジの発生によるおもなトラブルは、以下の3つです。
- 機械の制御不良・誤動作の発生
- 注油頻度やメンテナンスコストの増加
- 自社製品への異物混入
予防策を講じるためにも、スラッジがもたらすトラブルの詳細を確認しておきましょう。
トラブル①:機械の制御不良・誤動作の発生
スラッジが蓄積すると、機械の動作に支障をきたし、制御不良や誤動作が発生するリスクが高まります。
特に、精密な動作が求められる機械や高速で稼働する設備では、スラッジの影響で生産効率が低下し、故障リスクが増加するケースも少なくありません。
例えば、スラッジがチェーンやバルブなどの稼働部に付着すると、機械の動きが妨げられ、正常な操作ができなくなります。
動作不良が続くと部品の故障につながり、最終的には機械全体の修理や交換が必要になります。
事前にスラッジ対策を進めることで、機械は滑らか動作を維持し、作業効率を維持できるでしょう。
トラブル②:注油頻度やメンテナンスコストの増加
スラッジが引き起こすトラブルの一つとして、注油頻度やメンテナンスコストの増加も考えられるでしょう。
スラッジの発生によって潤滑油の劣化スピードが早くなり、注油や油交換の頻度も増えるため、メンテナンスコストがかかりやすくなります。
加えて、潤滑油に含まれる不純物の塊であるスラッジが油路に蓄積すると潤滑効果が弱まり、部品も摩耗しやすくなります。
その結果、摩擦や熱が発生し、部品の寿命を縮めてしまうのです。
機械の正常な動作を維持し、部品の摩耗や不具合を防ぐには、定期的な注油や交換が欠かせません。
しかし、頻繁なメンテナンスは、人件費や材料費が増加する要因となります。
特に大量の機械を稼働させる工場では、メンテナンスコストが大幅に増加し、経営面での負担も大きくなります。
そのため、定期的なメンテナンス計画によってスラッジの発生を予防し、コスト増加を抑えることが重要です。
【関連記事】チェーンを守る注油の基本とは?注油が必要な場所と適切な頻度を解説
トラブル③:自社製品への異物混入
スラッジが製造ラインに発生すると、製品に異物が混入するリスクが高まります。
具体的には、スラッジが機械部品に付着し、それが製造ラインを通じて製品に混入することで、品質や安全性に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
特に食品製造現場では、安全と衛生を保つために自動化が急速に進んでおり、機械が製造プロセスの多くを担うようになっています。
自動化に伴い、より機械の精密な動作が求められる現在において、潤滑の重要度も高まりつつあります。
また、万が一潤滑油が食品に混入すると、消費者の信頼を損ねるだけでなく、製品回収やブランドイメージの低下といった深刻なトラブルに発展しかねません。
自社機械の潤滑環境に適した性能を持つ潤滑剤を選定・使用することで、スラッジの発生を防ぎ、異物混入リスクを軽減できるでしょう。
なお、異物混入のリスクを回避するための対策として、食品機械の潤滑には「NSF H1規格」の使用が求められます。
特に、JAX JAPANが提供するNSF H1認証の潤滑剤であれば、食品と偶発的に接触する可能性がある部分でも安全に使用でき、自社工場における異物混入リスクを大幅に軽減できます。
製品の安全性と品質を高めたい方は、ぜひNSF H1規格の潤滑剤をご検討ください。
【関連記事】世界標準の信頼性をもつNSFとは?NSF認証の取得プロセスやメリットを紹介
潤滑トラブルにつながるスラッジを溶解する方法
スラッジを溶解する方法は、おもに以下の2つです。
- 自浄作用の高い潤滑油を使用する
- スラッジ溶解剤を使用する
潤滑トラブルを引き起こすスラッジの発生は、機械の性能低下や故障につながるため、早期の対処が求められます。
スラッジ対策を迅速に実施するためにも、2つの方法を詳しく確認しておきましょう。
方法①:自浄作用の高い潤滑油を使用する
スラッジを防ぐには、スラッジを分散・溶解する「自浄作用」の高い潤滑油を使用するのが効果的です。
自浄作用を持つ潤滑油には、油中の微粒子や不純物が固まるのを防ぎ、油路にスラッジが蓄積しにくくする特性があります。
スラッジが固着する前に除去できるため、定期的なメンテナンスの手間が軽減され、機械の稼働率を高められるでしょう。
方法②:スラッジ溶解剤を使用する
すでにスラッジが堆積し、潤滑不良や機械トラブルが発生している場合は、専用のスラッジ溶解剤を使うことで問題を改善できます。
スラッジ溶解剤は、機械内部に付着しているスラッジやガム質を溶解し、油中に分散させることで、フィルターの目詰まりや機械の故障を防ぎます。
定期的なメンテナンスの一環として使用することが一般的で、稼働中の機械にも適用可能です。
稼働中の設備に対する影響を最小限に抑えつつ、効果的にスラッジを除去できるでしょう。
スラッジによる潤滑トラブルを防ぐには事前対策も重要
潤滑トラブルを防ぐには、スラッジが発生しにくい潤滑油を選ぶことが大切です。
特に、高温でも性能を維持できる「耐熱潤滑油」を使用することで、油の変質を抑え、スラッジが発生しにくくなります。
機械の動作をスムーズに保ち、高温環境でも安定した性能を発揮してくれるでしょう。
JAX JAPANでは、チェーン油やグリースなど、耐熱性に優れた潤滑剤を各種取り揃えています。
自社用途に合わせた製品を、ぜひご確認ください。
また、万が一スラッジが発生した場合でも、自浄作用を備えた高性能な潤滑油を使うことで、効率的に溶解し、潤滑性能を回復させられます。
その結果、機械の動作が安定し、潤滑トラブルのリスクを減らせるでしょう。
自浄作用を備える潤滑油について詳しく知りたい方は、以下の動画もぜひご覧ください。
スラッジを溶解する自浄作用を備えた高性能な潤滑剤をお探しなら
スラッジの蓄積によるトラブルを未然に防ぎ、自社機械の性能を維持するために、自浄作用を備えた潤滑剤の使用をご検討ください。
スラッジは、機械の性能低下や潤滑トラブルを引き起こす原因です。
放置すると、機械の運転効率に悪影響を与えるだけでなく、機械寿命が短くなる恐れがあります。
自浄機能を持つ潤滑剤は、スラッジを効率的に溶解し、機械を清潔に保ちます。
長期間にわたって、機械の性能を維持できるでしょう。
なお、JAX JAPANの製品はすべてに自浄作用が備わっています。
自社機械のパフォーマンスを最大限に引き出す潤滑油をお探しの方は、お気軽にJAX JAPANまでご相談ください。
また、JAX JAPANでは、耐熱性、安全性、持続性に優れた潤滑剤を多彩に取り揃えています。
自社の用途や環境に適した高品質の潤滑剤をお探しの方は、ぜひJAX製品の使用をご検討ください。
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