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ブログメンテナンスチェーンを守る注油の基本とは?適切な頻度と5つの注油方法を解説

メンテナンス 2023.05.25(Thu)

チェーンを守る注油の基本とは?適切な頻度と5つの注油方法を解説

チェーンを守る注油の基本とは?適切な頻度と5つの注油方法を解説

チェーンは、エンジンや動力源からの推力を次の工程に伝達するために使用されている部品です。
産業分野だけではなく、さまざまな機械・装置にチェーンが使用されています。

 

そして、動きをスムーズに保つ注油は、重要なメンテナンス工程です。

チェーンの注油が適切に行われていない場合、伝動がうまく得られないばかりではなく、チェーンそのものの寿命を損なう恐れもあります。

 

この記事ではチェーン注油の基本と、注油が必要な場所や頻度を詳しく解説していきます。
チェーンへの注油について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

チェーンへの注油は重要度の高いメンテナンス

 

チェーンへの注油は、基本的かつ重要度の高いメンテナンスに含まれています。
なぜなら、チェーンが抵抗なく動くためには、チェーンオイル注油による油膜の形成が必要不可欠だからです。

 

油膜は部品同士を保護するクッションの役割を果たします。
結果として、チェーンの摩擦を最小限にし、機械部品の長寿命化につながるでしょう。

 

一方、油膜がないチェーンは、摩耗による劣化を引き起こし、騒音などの新たな不具合を引き起こす場合もあります。
チェーンへの注油は、チェーンの消耗や機械の寿命にも影響を与えるメンテナンスとして、欠かせない作業といえるでしょう。

 

【関連記事】チェーンオイルの必要性とは?おもな役割と代表的な種類・特徴を解説

 

チェーンの基本構造

 

ここでは、チェーンの基本構造を以下の観点に分けて解説していきます。

 

  • 代表的なチェーンの種類
  • ローラチェーンの構成パーツ
  • 注油が必要な場所

 

それぞれの特徴・用途を紹介するので、自社機械のチェーンとの比較やメンテナンス箇所を確認するための参考としてご活用ください。

 

代表的なチェーンの種類

代表的なチェーンの種類や特徴を一覧表にしてまとめました。
自社の機械に最適なチェーンを選定する際に、ぜひご活用ください。

 

チェーンの種類 特徴 用途 構造
ローラーチェーン
  • 細かい長さの調整が可能
  • 摩擦吸収のための潤滑が必要
  • 耐荷重を上げるために、2本以上のローラーチェーンを一体化したものもある
  • 自転車のチェーン
  • ブシュやピンが入る穴が空いた構造で、内プレート、外プレート、ピンで構成される
サイレントチェーン
  • 騒音が抑えられている
  • ローラーチェーンに比べるとコンパクト
  • 摩擦抵抗が大きい
  • 自動車のカムシャフトやトランスミッション
  • 軸間が離れた動力伝達
  • 歯型のプレートを交互に重ね、ピンで固定
  • 歯形部分をギヤにかけて動力を伝える
リーフチェーン
  • プレートの数を増やして、対応する重量を調整できる(軽荷重用のAL形・重荷重用のBL形)
  • 吊り下げ用
  • 平行用
  • モーション伝達用
  • プレートとピンのみで構成されている
コンベヤチェーン
  • 用途に応じてさまざまなアタッチメントを取り付け可能
  • 水平、垂直、傾斜など、どの方向にも対応
  • 物や資材の運ぶためのもの
  • プレート、ピン、ブシュ、ローラ、アタッチメントで構成される
  • 用途に応じて3種類のローラから選択

 

ローラチェーンの構成パーツ

 

ローラーチェーンは、おもに5つのパーツから成り立ちます。

 

  1. 外側プレート:チェーンにかかる荷重を支える
  2. 内側プレート:チェーンにかかる荷重を支える
  3. 軸(ピン):プレート同様荷重を支え、せん断や曲げ応力を受ける
  4. ブシュ:回転するローラーを正しい位置で支える
  5. ローラー:歯車(スプロケット)と噛み合う

 

外リンクと内リンクを1つ置きに連結させたものが、ローラーチェーンです。
外リンクは2枚の外側プレートでピン・ブシュ・ローラーを挟み、内リンクは外リンクと同様に内側プレートでピン・ブシュ・ローラーを挟み込んでいます。

 

ローラーチェーンに油膜がない場合には、ブシュに摩耗が発生します。
1つの摩耗は小さくても、数多くのリンクが連なっている場合、チェーンの伸びが大きくなるため注意が必要です。

 

注油が必要な場所

ローラーチェーンを例として、注油が必要な場所を確認していきましょう。

 

前述したように、ローラーチェーンは内リンクを2つの外リンクが挟み込む構造をしています。
そのため、チェーン摩擦が発生しやすい以下のような箇所への注油が必要です。

 

  • ピンとブシュの間
  • ブシュとローラーの間
  • 外プレートと内プレートの間

 

摩擦が生じるポイントに正しく注油できれば、摩擦を軽減させ騒音や振動などのトラブルを防いでくれます。

なお、ローラーチェーンに注油する際には、半固体状のグリースよりも細部に浸透しやすいオイルが用いられます。

 

ただし、注油したオイルが垂れや飛散すると、新たな問題を引き起こしかねません。
潤滑剤の選定には、自社にとって適切な性能を持つ製品か十分な検討が必要です。

 

【関連記事】工業用潤滑油の種類・粘度・選び方を徹底解説!最適な潤滑油を見つけよう

 

チェーンへの適切な注油頻度


「チェーンへの注油方法は理解したけど、どのくらいの頻度でメンテナンスが必要なの?」といった疑問をお持ちの方のために、チェーンへの適切な注油頻度について解説します。

 

現状、チェーンへの注油が必要な状態なのかを確認する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

注油が必要なタイミングは一概にはいえない

チェーンが油切れを起こすタイミングは、さまざまな環境要因によって変化します。
なお、おもな環境要因は以下の通りです。

 

  • チェーンのリンク数
  • 歯車の回転数
  • 周辺温度
  • 粉塵性(ホコリやゴミが多い環境)
  • 油の粘度
  • 荷重の大きさ など

 

上記のような環境要因が重なり合うため、同じチェーンを使用していても、油切れまでの時間は同じとはいえません。

 

チェーンの寿命を伸ばすためには、潤滑状態をこまめにチェックし、適宜、注油する必要があります。

 

注油状況を確認する方法

チェーンの注油状況を確認したい場合は、ピンとブシュが接触する箇所に光沢があるか目視でチェックしてください。

 

光沢があれば注油状況が適正であり、光沢がなければ油膜のない状態であることを示します。
光沢がない場合には、注油タイミングの見直しが必要です。

 

この時にチェーンにスラッジ(細かいチリと油が混ざったもの)や伸びが発生していないかも合わせて確認してください。
スラッジがある場合には、チェーンを洗浄し、正しく取り付けた後、十分に注油します。

 

洗浄後は油膜が落ちている状態なため、速やかに注油や防錆処置が必要です。
またこの際、チェーンの伸びが確認できた場合には、チェーン交換を検討してください。

 

【関連記事】チェーンを錆びさせないために!自社機械と製品品質を守る4つの対策

 

ローラチェーンへの5つの注油方法

 

チェーンをスムーズに動かし、寿命を伸ばすうえで重要な工程であるローラーチェーンへの注油ですが「適切なやり方が分からない…」という方も少なくないのではないでしょうか?

 

そのような方のために、代表的なローラチェーンへの注油方法として、以下の5つを解説していきます。

 

  1. はけ塗り・油差しでの注油法
  2. 滴下給油法
  3. 油槽潤滑法
  4. ディスク潤滑(円盤潤滑)法
  5. 強制給油法

 

それぞれのポイントをご紹介しますので、自社の機械や使用状況にあった注油の仕方が知りたい方は、ぜひご確認ください。

 

方法①:はけ塗り・油差しでの注油法

この方法では、チェーンが緩んだ側の外側プレートと内側プレートの隙間にはけ塗りや油差しで人が直接、注油をします。
1日1回を目安として、チェーン全体にオイルが浸透し、軸受部が乾燥しない程度に行いましょう。

 

なお、オイルの量が多すぎると、垂れや飛び散りが発生するため注意が必要です。

 

方法②:滴下給油法

滴下給油法は、チェーンにオイルカップを備え付け、プレートの隙間にオイルを滴下する方法です。
上記のはけ塗り・油差しでの注油法に比べ、手間や時間の省力化が図れるのがメリットといえます。

 

ただし、環境温度やオイル面の高さにより滴下量が変わるため、定期的に滴下量の調整が必要です。
また、オイルの飛び散りが発生しないように、囲いを設けるといった対策も必要となります。

 

方法③:油槽潤滑法

油槽潤滑法とは、オイルたまりの中にチェーンを通し、浸透させる方法です。
オイル面が高いと攪拌された熱によりオイルの劣化が生じるため、チェーンが半分浸かる程度の量に調整しましょう。

 

また、オイルたまりのケース内に異物が混入しないよう、定期的な清掃も必要です。

 

方法④:ディスク潤滑(円盤潤滑)法

ディスク潤滑(円盤潤滑)法では、スプロケットをオイルに浸け、付着したオイルを跳ね飛ばすことでローラーチェーンに注油します。
十分な油膜を形成するために、スプロケットの速度を180m/min以上に設定しましょう。

 

なお、ローラーチェーンの幅が125mm以上の場合には、ローラーチェーンの両側にスプロケットを取り付ける必要があります。

 

方法⑤:強制給油法

強制給油法とは、ポンプを使ってオイルたまりから吸入し、常にチェーンの緩み側にオイルを噴射する方法です。
吸入部分にはオイル清浄機を、オイルの温度が上がる場合には冷却器を備え付けるなど対策が必要となります。

 

なお、ローラーチェーンを複数並べた「多列ローラーチェーン」を使用する場合は、噴霧管の給油穴をチェーン列数+1個設けましょう。

 

ローラーチェーンの潤滑方法に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてご確認ください。

 

【関連記事】ローラーチェーンの潤滑方法5選|高温・摩耗環境におすすめの潤滑油を解説

 

注油するチェーンオイルの選定方法

自社機械に注油するチェーンオイルを選定する際は、以下のポイントを重視しましょう。

 

  1. 環境に適した性能を備えているか
  2. 安全性を兼ね備えているか

 

ここからは、各選定方法の詳細を解説します。

 

選定方法①:環境に適した性能を備えているか

自社機械に注油するチェーンオイルを選定する際は、以下のような環境要因によって、オイルの性質や粘度を変えなければいけません。

 

  • 周辺温度
  • 湿度や水分混入リスク
  • チェーンの回転数 など

 

例えば、食品工場で使用されている機械におけるローラーチェーンの場合を考えてみましょう。
食品を加工・製造する工程の特性により、食品工場は高温・高湿度の環境になりやすい傾向があります。

 

特に高温下で使用する場合は、スラッジが発生するリスクが高まります。
そのため、耐熱性能に加え、スラッジを形成させない自浄作用があるオイルを選ぶのがおすすめです。

 

自浄作用があるオイルは、スラッジの混入を防ぎ、メンテナンスの時間や回数を減らしてくれるでしょう。

 

また、湿度が高い環境では潤滑油に水分が混入し、潤滑性能が劣化したり、機械部品に悪影響を与える錆が発生したりするリスクが高まります。
そのため、水分が混入しても潤滑性能を維持できる耐水性の高い潤滑油が必要です。

 

上記のような問題の解決策としてJAXJAPANでは、高い耐熱性と自浄作用を備えたNSF H1認定・合成油100%チェーンオイル「パイロコートFG」や、水のある環境での錆つきやオイル垂れを解消するNSF H1認定潤滑油「プルーファーチェーンオイル」など各種製品を提供しています。

 

自社機械に最適なチェーンオイルを見つけたい方は、以下の商品ラインナップをご確認ください。

 

>>耐熱商品のラインナップはコチラ<<

 

>>耐水商品のラインナップはコチラ<<

 

パイロコートFGを導入したお客様の声

パイロコートFGを実際に使用したお客様からは、以下のようなお声をいただいています。

 

◾️食品工場の搬送チェーン、焼成工程(雰囲気温度220℃前後)

他社オイルを使用していましたが、スラッジ(画像、黒液状)が発生していました。
スラッジは、チェーンに固着、ローラーが回転不良になり、チェーンの交換か業者清掃を検討していました。
パイロコートFGを使用した結果、固着したスラッジを落とし、ローラーが回転するようになりました。
チェーン交換頻度は、6ヵ月長くなり、コスト削減にもつながっています。

 

熱による潤滑油の劣化やスラッジの発生にお困りの方は、パイロコートFGの導入をぜひご検討ください。

 

>>「パイロコートFG」の詳細を確認する<<

 

プルーファーチェーンオイルを導入したお客様の声

プルーファーチェーンオイルを導入したお客様は、以下のような効果を実感しています。

 

◾️食品工場の搬送チェーン、発酵工程(湿度80%)

湿度が高く、チェーンにオイルが浸透しない結果、錆が発生していました。
他オイルでも解決はできず、潤滑油の使用を諦めようとしていました。
ダメ元で無料サンプルを試した結果、時間が経過してもチェーンが潤っていることが目に見えてわかりました。
チェーン交換後は、プルーファーチェーンオイルを使用し、錆を防ぐことができています。

 

水分の混入や錆の発生にお困りの方は、プルーファーチェーンオイルをぜひお試しください。

 

>>「プルーファーチェーンオイル」の詳細を確認する<<

 

選定方法②:安全性を兼ね備えているか

自社機械に注油するチェーンオイルを選定する際は、安全性の確認も必要です。

 

近年では製品にチェーンオイルが混入してしまい、クレームやリコールが発生するケースも増加しています。

 

特に、食品の安全への意識が高まる昨今では、食品機械用のチェーンオイルにも安全性が求められています。
そのため、食品工場で使用するチェーンオイルは、万が一混入した場合でも問題のない製品の選定が必要です。

 

JAX JAPANが提供しているH1規格のオイルは、衛生管理の手法であるHACCPの基準をクリアしている製品です。

 

自社工場の衛生管理の基準を引き上げたい事業者様や、より安心・安全な製品をお客様まで届けたい方は、潤滑性と安全性を兼ね備えたチェーンオイルである「NSF H1規格取得済みJAX JAPAN製品」の活用をご検討ください。

 

>>「H1チェーン油」の詳細を確認する<<

 

安全性の指標となる「NSF認証」とは

NSF認証とは、1944年に設立された食品と飲料水の安全基準を設定する非営利機関「National Sanitation Foundation(NSF)」による認証制度です。

 

サプライチェーンを含む原材料の確認と工場監査を通じ、国際的な基準から安全だと判断された製品および事業者はNSF認証を取得できます。

 

なお、NSF認証における食品機械用潤滑油の規格には、以下のような種類が存在し、それぞれ定義が異なります。

 

  • H1
  • H2
  • H3
  • 3H など

 

なかでも、H1規格をクリアした製品は「食品との偶発的な接触が起こり得る箇所で使用できる潤滑剤」として、高い安全性が認められています。

 

 

チェーンの注油に関するよくある質問

ここからは、チェーンの注油に関するよくある質問とその回答を紹介します。

 

Q.1チェーンの潤滑にグリースは不向きですか?

一般的にチェーンの潤滑には、オイルを使用するケースが多いですが、潤滑環境によってはグリースも活用できます。

 

なお、潤滑油とグリースの基本的な違いは、増ちょう剤の有無です。

 

グリースには、粘度(ちょう度)を高めるために「増ちょう剤」が含まれており、半固体または固体の形状をしています。

 

粘度がある分、金属部品に吸着しやすく、厚い油膜を形成できるため、摩耗や衝撃への耐性が高いのが特徴です。

 

対して、潤滑油のような浸透性や冷却機能はないため、奥まった潤滑箇所や高速で動作する部品、高温下などでの使用には適さない傾向があるでしょう。

 

Q.2シールチェーンは注油不要ですか?

シールチェーンとは、ピンとブッシュの間にグリースを入れ、密封した構造のチェーンです。

 

いわば、あらかじめ潤滑剤が仕込まれている状態にあるため、摩耗や衝撃、ひっぱりなどに強く、動力の伝達効率を維持しやすい傾向があります。

 

なお、シールチェーンはメンテナンスなしでも可動部分の潤滑を長期間保ちやすい製品ですが、注油が不要なわけではありません。

 

チェーンの動作とともに潤滑剤も劣化・消耗するため、定期的な点検と注油を欠かさないようにしましょう。

 

自社機械への注油に最適なチェーンオイルをお探しなら

 

チェーンを守るためには、適切な注油とオイルの選定が必要です。
適切な注油はチェーンの寿命を伸ばすだけではなく、摩擦や騒音など新たなリスクを防ぐ役割も期待できます。

 

なお、自社機械への注油に最適なチェーンオイルをお探しなら「JAXJAPAN」にご相談ください。

 

弊社では、本記事で紹介した「パイロコートFG」や「プルファーチェーンオイル」はもちろん、さまざまな用途・環境で高い潤滑性能を発揮するチェーンオイルを提供しています。

 

無料サンプルもご用意していますので、興味のある方はお気軽にお問い合せください。

 

>>お問い合わせ・資料請求はコチラ<<

 

また、JAXJAPANでは、チェーンオイル以外にも高性能な潤滑剤を多数取り扱っています。
自社に最適な潤滑剤をお探しの方は、以下の「商品ラインナップ」をご確認ください。

 

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