SCROLL

ブログその他潤滑油ベースオイルとは?潤滑剤に使用されるおもな種類・成分と役割を解説

その他潤滑油 2023.09.28(Thu)

ベースオイルとは?潤滑剤に使用されるおもな種類・成分と役割を解説

ベースオイルとは?潤滑剤に使用されるおもな種類・成分と役割を解説

各種機械を円滑に動作させるために重要な役割を担う「潤滑剤」。

 

なかでも、潤滑剤の基盤となる重要な組成成分が「ベースオイル(基油)」です。

 

機械の部品同士の接面が十分潤滑されていないとスムーズな動作の妨げになってしまいます。

 

なお、一口に潤滑剤といっても、各機械によって性能や動き、形はさまざまなので、それぞれに適した性能を持つ製品を選ばなければなりません。

 

本記事では、ベースオイルの特徴や種類、各用途について解説します。

 

自社工場の機械に適したベースオイルを含んだ潤滑剤をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

 

また、食品製造工場でも使用できる安全性の高いベースオイルを使用した潤滑剤をお探しであれば「JAX JAPAN」が提供する「NSF H1潤滑剤」をお試しください。

 

ベースオイルとは

 

ベースオイル(基油)とは文字通り、潤滑剤のベースとなるオイル成分です。

 

一般的に潤滑剤は、用途に応じてベースオイルと各種類の添加剤を組み合わせて、調合されます。

 

なかでもベースオイルは、潤滑剤の80〜90%を構成しており、性能を決定する基盤です。

 

大きく分けると合成油、鉱物油に分類されており、それぞれ性質や使用用途が異なります。

【グループ別】ベースオイルの分類一覧表

API(American Petroleum Institute 米国石油協会)は、石油および関連する製品の標準規格を制定する組織で、ベースオイルを下記のように分類しています。

 

API規格 特徴
グループ 硫黄分(%) 飽和分(%) 粘度指数 主な製法 分類
グループ(1) 0.03超または90未満 80以上120未満 溶剤精製 鉱油系
グループ(2) 0.03以下 90以上 80以上120未満 水素化精製
グループ(3) 120以上 水素化分解
グループ(4) ポリαオレフィン(PAO) 合成系
グループ(5) グループ(1)~(4)に属さないもの

ベースオイルは上記のような基準によって、5つのグループに分けられます。

 

それぞれ成分や粘度指数、おもな製法などが異なるため、用途に適したベースオイルを含む潤滑剤を選びましょう。

 

なお、潤滑油の粘度や選定方法について、詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。

 

【関連記事】潤滑油の粘度とは?これを知れば、適切な潤滑油の選定ができます!

【成分別】ベースオイルのおもな種類

 

ベースオイルは、おもに以下の2種類に分類されます。

 

  1. 原油から精製した鉱油
  2. 目的に応じて精製された合成油

 

それぞれの種類や構成成分について解説するので、ぜひ参考にしてください。

種類①:鉱油

鉱油とはおもに石油を蒸留し、精製したオイルです。

 

一般的には原油を常圧蒸留した後にして減圧蒸留し、不純物を取り除くことで精製します。

 

なお、鉱油は大きく以下の2種類に分かれます。

 

  1. パラフィン系オイル
  2. ナフテン系オイル

 

多くの潤滑剤には鉱油が使用されていて、そのなかでもパラフィン系のベースオイルが特に多く使用されています。

 

鉱油は安価なので幅広い用途で使用されている反面、高温や険しい環境での使用は不向きです。

鉱油①:パラフィン系オイル

パラフィン系オイルとは、含有された成分のパラフィン炭素数が5割以上のベースオイルです。

 

API分類だとグループ(1)〜グループ(3)に含まれます。

 

低粘度から高粘度までさまざまな製品が開発・提供されており、安価かつ鉱油系潤滑剤のなかでは比較的安定した性能が特徴です。

 

ただし、鉱油系オイル全体の特徴として、精製によって不純物を完全に取り除くことができないため、使用温度範囲は狭いといえます。

 

特に、パラフィン系オイルは低温下で結晶化しやすいという特性を持っているため、流動性を保つために「流動点降下剤」を添加している製品が多いようです。

鉱油②:ナフテン系オイル

ナフテン系オイルとは、ナフテン炭素数3割以上のベースオイルです。

 

おもにオーストラリアや米国でナフテン系原油を蒸留し、水素化精製や溶剤精製、硫酸洗浄といった流れで精製されます。

 

粘度指数は比較的低いですが、その分溶解性は非常に高いのが特徴です。

 

また、低温流動性に優れているため、冬季や寒冷地での使用に適しています。

種類②:合成油

合成油は化学合成によって製造されたベースオイルであり、大きく以下のように分類されます。

 

  1. 合成炭化水素油
  2. エステル油
  3. エーテル油
  4. シリコーン油
  5. フッ素油

 

ベースオイルとして合成油が使用された潤滑剤のおもな用途としては、自動車用ブレーキ液や金属加工油、工業用および自動車用潤滑剤などが挙げられます。

 

基本的には高温や耐荷重、長期の運転などで性能が発揮されますが、鉱油系潤滑剤と比較して、使用可能な温度範囲や条件は幅広いです。

 

そのため、鉱油系潤滑剤では性能的に問題が発生してしまう以下のようなシーンで使用されます。

 

  • 低温下
  • 高温下
  • 高速剪断
  • 耐樹脂
  • 真空下 など

 

ただし、条件次第では鉱油系潤滑剤に性能が劣る可能性もあります。

 

比較的、価格も高いため、特殊な条件下のみで使用されるのが一般的です。

合成油①:合成炭化水素油

合成炭化水素油は、炭化水素が主成分のベースオイルであり、以下のような種類に分けられます。

 

  • ポリアルファオレフィン(PAO)
  • ポリブデン
  • アルキルベンゼン
  • シクロアルカン類 など

 

一般的に合成炭化水素油は、高い粘度指数や熱安定性(特に低温)を備えている傾向があります。

 

また、分子構造が均等なため、蒸発による損失が少ないのも特徴です。

 

耐ゴム・耐樹脂性も優れているため、幅広い用途で使用できますが、天然ゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)への使用には不向きです。

合成油②:エステル油

エステル油とは、脂肪酸とアルコールの化合物、もしくは脂肪酸とグリセリンとの化合物で合成油性成分のことを指します。

 

なお、エステル油の代表的な種類は以下の通りです。

 

  • モノエステル
  • ジエステル(DOS)
  • ポリオールエステル
  • リン酸エステル
  • ケイ酸エステル(シリケート) など

 

エステル油全体の傾向として、潤滑性能と熱安定性に優れ、幅広い温度範囲で使用できるのが特徴です。

合成油③:エーテル油

エーテル油は、以下のような種類に分けられます。

 

  • ポリグリコール
  • フェニルエーテル など

 

なかでも、ポリグリコール油(PAG)は、潤滑性に優れ、粘度範囲が広いといった特徴を備えています。

 

また、劣化を受けてもスラッジを生成しないうえに、吸湿性を持っており、毒性は少なく無色無臭なので、幅広い用途で使用可能です。

合成油④:シリコーン油

シリコーン油は、以下のような種類に分けられます。

 

  • ポリシロキサン
  • シリケートエステル など

 

シリコーン油は熱酸化に対して安定性があり、全体バランスとしてみても耐熱性や電熱性、耐水、耐寒性もあり優れています。

 

無色透明な液体で、温度による粘度変化があまりないことから、寒い土地での使用に適しています。

合成油⑤:フッ素油

フッ素油は、おもにハロカーボン(トリフルオロエチレン)を主成分とするベースオイルです。

 

耐熱・酸化安定性に優れており、150℃での長時間使用でも酸化や分子破断等の変化が起こらないとされています。

 

また、他のベースオイルと比べて経年劣化、物理的変化が少ないのも特徴ですが、比較的高価なのが欠点です。

潤滑剤におけるベースオイルのおもな役割

 

潤滑剤においてベースオイルはおもに、以下のような性能に関与しています。

 

  • 潤滑性(耐摩耗性)
  • 低トルク性
  • 低温性、耐熱性
  • 耐樹脂性 など

 

もちろん、上記はベースオイルだけで決定されるわけではありませんが、潤滑剤の性能に影響を与えているのは確かです。

 

特に、潤滑剤の基本的な潤滑性能を決定する「耐摩耗性」や「低トルク性」などに関しては、ベースオイルの影響が大きいといえるでしょう。

 

なお、高品質のベースオイルを配合した潤滑性能の高い潤滑油をお探しであれば、JAX JAPANが開発・提供する「H1 チェーン油」がおすすめです。

 

>>高い潤滑性能を誇る「H1チェーン油」の詳細を確認する<<

【ベースオイル別】潤滑剤の選び方

 

潤滑剤を選定する際は、以下のような要件を把握したうえで、自社の用途に適した製品を選ぶ必要があります。

 

  • 摩擦面の種類(軸受、摺動面などの使用箇所)
  • 機械の運転条件(潤滑部の回転速度、回転数、荷重など)
  • 適正粘度、ちょう度

 

潤滑箇所の細かい仕様や条件によって、求められる性能は変わるため、用途に適したベースオイルの潤滑剤を選定しましょう。

 

なお、自社機械に最適な潤滑剤を選定するためには、オイル分析を行うのも効果的です。

 

オイル分析の詳細については、下記の記事で詳しく解説しているので合わせてご確認ください。

 

【関連記事】オイル分析の重要性とは?おもな目的と測定方法、劣化診断について解説

安全性の高いベースオイルを使用した潤滑剤をお探しなら

 

食品製造工場でも使用できる安全性の高いベースオイルを使用した潤滑剤をお探しであれば「JAX JAPAN」が提供する「NSF H1潤滑剤」をお試しください。

 

NSF H1潤滑剤は、アメリカの政府機関であるFDA(アメリカ食品医薬品局)から認定された安全性がある原材料のみを使用しています。

 

そのため万が一、製品が消費者の口に入ってしまったとしても健康被害を最小限に抑えられます。

 

また、多くの食品や飲料業工場でも求められる耐熱性や耐水性を揃えた製品など、数々のラインナップを提供しているのも特徴です。

 

>>商品ラインナップはコチラ

 

無料サンプルもご用意しておりますので、自社の用途・環境に最適な潤滑剤をお探しの方は、お気軽に「JAX JAPAN」までお問い合わせください。

 

>>無料サンプルお申し込みはコチラ

 

【関連記事】食品機械に最適な潤滑油の選び方とは?種類と用途、規格について解説

【関連記事】潤滑油の粘度とは?これを知れば、適切な潤滑油の選定ができます!

【関連記事】食品機械用潤滑油とは?重要性や求められる品質を徹底解説

この記事の監修

椎野 博貴

役職

セールスエクゼクティブ

資格

2級潤滑士
2019年 JAX H1 ANNALYSIS検定 修了
2022年 JAX SALES DIRECTOR PROGRAM 修了

JAX JAPANにて大手食品メーカーや機械メーカーを100社以上担当。潤滑油の使い方をより知るために、米国のJAX本社での研修トレーニングに日本代表として参加。食品業界はもちろん、他業界にも提案を広げ、全体管理とH1潤滑油の国内の拡販推進に携わる。