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ブログブログチェーンオイルの必要性とは?おもな役割と代表的な種類・特徴を解説

ブログ 2023.05.18(Thu)

チェーンオイルの必要性とは?おもな役割と代表的な種類・特徴を解説

チェーンオイルの必要性とは?おもな役割と代表的な種類・特徴を解説

さまざまな産業の機械や装置を動かす部品として、チェーンが使用されています。

 

しかし、チェーンオイルの役割や必要性を知っている方は少ないかもしれません。自社の機械にあったチェーンオイルを選ばないと、オイルの性能が発揮されないばかりか、チェーンの劣化を招く恐れもあります。

 

本記事では、チェーンオイルの必要性や代表的なチェーンオイルの種類・特徴などを詳しく解説します。チェーンオイルの役割や自社の機械に適したオイルの種類が知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

チェーンオイルとは?

 

チェーンオイルは、チェーンの動きをスムーズにし、騒音や摩擦などのリスクを防ぐ役割を持ったオイルです。

 

また、チェーンオイルはチェーンと歯車(スプロケット)が直接ぶつかり合わないよう、クッションの役割を果たす「油膜」を形成します。油膜はチェーンとスプロケットがぶつかり合う摩耗を防いでくれるため、結果的にチェーンの寿命を長持ちさせる効果に期待できます。

 

ただし、用途や環境に適したチェーンオイルを使用しないと、垂れや飛び散りを招き、汚れの付着や十分に油膜が形成できないなど新たなリスクが発生しかねません。使用する場所やオイルの粘度などを考慮し、適切なものを選定しましょう。

チェーンオイルのおもな役割


チェーンオイルのおもな役割は以下のとおりです。

 

  • チェーンの摩耗・伸びを軽減する
  • 高温運転下の発熱を冷却する

 

チェーンオイルの役割を理解し、自社に最適なチェーンオイルの選定するためにご活用ください。

チェーンの摩耗・伸びを軽減する

チェーンオイルは、スプロケットとチェーンの間にクッションの役割を持つ油膜を作り、摩耗を防いでくれます。

 

例えば、ピンとブシュの間にわずか0.1mmの摩耗が生じた場合、100リンク(外側・内側のリンクが合計100個集まったもの)では1cmもの伸びが発生します。

 

許容範囲を超えたチェーンの伸びは、振動や騒音を引き起こす原因のひとつとなるため対策が必要です。そのようなチェーンの摩耗や伸びを防ぐために、チェーンオイルが重要な役割を担っているのです。

高温運転下の発熱を冷却する

チェーンオイルには、高温運転下に発生した熱を冷却する効果もあります。

 

ただし、チェーンや周辺温度が高くなると、チェーンオイルの温度も上昇し、粘度が低下します。粘度が低下すると、チェーンに十分な油膜を形成できず、さまざまな機械トラブルが起きかねません。

 

そのため、高温運転下で使用するチェーンオイルは、専用の製品を選びましょう。

 

なお、チェーンオイルの冷却効果を高めるためには、以下のポイントを意識する必要があります。

 

  • チェーンオイルの温度管理
  • チェーンオイルの量を増やす
  • オイルクーラーの設置

 

チェーンオイルの温度上昇を防ぐためにも、温度管理を徹底しましょう。温度の上昇がみられる場合には、オイルタンクの増量や、オイルクーラーの設置も検討してください。

チェーンオイルの代表的な種類・特徴

チェーンオイルの代表的な種類は、以下の5つに分類されます。

 

  • オイルタイプ
  • グリースタイプ
  • スプレータイプ
  • 高温チェーン用オイル
  • 耐水チェーン用オイル

 

それぞれの特徴や使用用途をご紹介しますので、オイル選びの参考にしてください。

オイルタイプ


オイルタイプは、蒸発しにくく耐熱性に優れた合成油を使用しています。

 

高温下で使用する場合でも、スラッジ(細かいチリと油が混ざったもの)が発生しにくいのも特徴です。万が一、スラッジが発生してしまった場合でも、再給油により溶解しやすいというメリットがあります。

 

また、鉱物油に添加物を入れると、さまざまな性能を付与できるのも特徴です。例えば、グラファイトを分散させたオイルは、耐熱性と耐荷重性に優れています。より高温下での使用でも、摩擦や焼き付きを低減可能です。

 

なお、オイルタイプは、塗装乾燥炉など高温下のチェーンに使用されています。

グリースタイプ

グリースタイプは、耐水性や密着力に優れたグリースを、溶剤で溶かした製品です。一般的にグリースタイプのオイルは、以下のような用途で使用されます。

 

  • 機械式駐車装置
  • 印刷機械
  • 搬送機械のチェーン
  • 屋外装置のチェーン

 

溶剤が含まれているためよく浸透し、溶剤が揮発した後にはグリース被膜を形成します。グリースのベースとなる鉱物油は、−20℃前後で凝固してしまうため、低温下で使用する場合には注意が必要です。

スプレータイプ

 

スプレータイプは、オイルやグリースをスプレーに加工したオイルとして、以下のような用途で使用されます。

 

  • 各種産業の駆動チェーン
  • 建設機械
  • 農業機械
  • 油の飛び散りや垂れを嫌う箇所のチェーン

 

オイルやグリースの特徴はそのままに、垂れや飛び散りが気になる箇所へ、部分的に噴射する場合に使用されます。スプレーの特徴を活かし、部分的に・幅広く・棒状になど、噴射タイプが選べるのもポイントです。

高温チェーン用オイル

 

高温チェーン用オイルは、高温になる場所で使われるチェーンのオイルとして、以下のような用途で使用されます。

 

  • 加熱炉
  • 乾燥炉
  • ベアリング
  • 摺動部

 

高温下で使用する場合には、どうしてもスラッジが発生しやすい傾向にあります。高温チェーン用オイルは、スラッジが発生しにくく、発生したスラッジも固着しにくいのも特徴です。

 

また高温の場合、油が蒸発しやすいため、油膜を保ちにくいデメリットがあります。その点、高温チェーン用オイルは耐熱性に優れているため、高温下でもチェーンの油膜を保ってくれるでしょう。

耐水チェーン用オイル

 

耐水チェーン用オイルは、水が付着する可能性のある場所に使われるオイルとして、以下のような用途で使用されます。

 

  • 自転車やバイクのチェーン
  • 印刷機械
  • 農業機械
  • 林業機械

 

耐水チェーン用オイルは、合成ポリマーが配合されたオイルです。製品への水の滴りを防ぎ、製品汚染やライン停止といったリスクを防ぎます。耐摩耗剤を配合させると保油性を保ちやすくなり、摩耗や故障のリスクを防げるでしょう。

チェーンオイルを選ぶ際のポイント3選

 

チェーンオイルを選ぶ際には、以下の3つのポイントを意識しましょう。

 

  1. 用途に適した粘度か
  2. 使用する環境に適した性能か
  3. 環境や人体への影響を考慮しているか

 

それぞれのポイントや注意点を解説します。自社の機械に最適なチェーンオイルを選定する際にぜひご活用ください。

ポイント①:用途に適した粘度か

チェーンオイルは、粘度にも注目して選びましょう。例えば、チェーンオイルを低温下で使用する場合には、粘度が高いと硬化しやすくなります。

 

一方、夏場など高温になりやすい環境下では、粘度が低いオイルでは十分な油膜を形成できません。部品同士を保護するための油膜が形成できない状況下では、チェーンと歯車がぶつかり合い、摩耗が発生してしまいます。

 

その結果、部品の消耗が進み、機械そのものの寿命にも影響を与えてしまうため、用途に応じたオイルの粘度選びが必要です。

 

関連記事:潤滑油の粘度とは?これを知れば、適切な潤滑油の選定ができます!

ポイント②:使用する環境に適した性能か

チェーンオイルを選ぶ際には、どのような環境で使用するかも考えなければいけません。例えば、チェーンオイルを高温下で使用する場合には、スラッジが発生しやすい傾向にあります。

 

スラッジの問題を解決するためには、耐熱性を持つオイルが最適です。耐熱性に優れたオイルであれば、スラッジの発生を防ぎ、チェーンの潤滑を保ってくれます。

 

他にも、水が付着する可能性のある場所では、耐水性や錆止め効果を持つオイルなど、使用環境に応じて最適なチェーンオイルを選定しましょう。

ポイント③:環境や人体への影響を考慮しているか

チェーンオイルは、製造工程において製品に混入してしまう可能性もあるため、環境や人体への影響を考えなければいけません。

 

例えば、食品を製造する機械で使用するチェーンオイルは、潤滑剤が食品に付着し、リコールになるリスクがあります。

 

なお、衛生管理の基準であるHACCPでは、潤滑剤の考え方の優先基準を以下の3つに定めています。

 

  1. 潤滑剤を使用しない
  2. 潤滑剤が漏れない・触れない対策
  3. 偶発的接触が許容される潤滑剤の使用

 

食品工場では機械を使用するため、①と②は非現実的です。したがって、チェーンオイルが混入してしまうリスクの対策には、3「偶発的接触が許容できる」にあたる「NSF H1規格の潤滑剤」の使用が適切といえます。

 

食品に対する安全性への関心は、海外で高まってきており、その流れは日本国内にも広がっています。安全性と潤滑性を兼ね備えた、世界基準の「NSF H1規格」のチェーンオイルをご検討ください。

 

関連記事:食品の衛生・安全を守るHACCPとはどんな制度?義務化の時期や手順を解説

まとめ

チェーンオイルは、チェーンとスプロケットの間に油膜のクッションを作り、摩擦や摩耗を防ぐ重要な役割を担っています。

 

また、オイル・グリース・スプレータイプなど種類が豊富で、使用する機械に合わせて選びやすいのも特徴です。使用する環境や用途に適したチェーンオイルは、スラッジの発生を防ぎ、異物混入のリスクを減らしてくれます。

 

自社製品の安全性を担保するためにもチェーンオイルの選定は、自社の業種に適したオイルか十分に検討してください。

近年、食品に対する安全性への関心が高まっています。食品工場で使用される潤滑油にも安全性が求められている現在、使用する製品の選定にも十分な配慮が必要です。

 

JAX製品のH1規格は、HACCPの基準をクリアした潤滑油です。食の安全を守るためにも、使用している潤滑油を「NSF H1規格」への変更を検討してみてはいかがでしょうか。

 

JAX製品は、耐熱性や耐水性など、用途に合わせてさまざまなチェーンオイルを用意しています。「NSF H1規格」の潤滑油が気になった方は、お気軽にお問い合わせください。

 

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この記事の監修

椎野 博貴

役職

セールスエクゼクティブ

資格

2級潤滑士
2019年 JAX H1 ANNALYSIS検定 修了
2022年 JAX SALES DIRECTOR PROGRAM 修了

JAX JAPANにて大手食品メーカーや機械メーカーを100社以上担当。潤滑油の使い方をより知るために、米国のJAX本社での研修トレーニングに日本代表として参加。食品業界はもちろん、他業界にも提案を広げ、全体管理とH1潤滑油の国内の拡販推進に携わる。