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その他潤滑油 2023.03.28(Tue)

JFS規格とは?3つの構成要素や認証取得フロー・費用について解説

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2018年に食品衛生法が改正され、2021年からはHACCPが義務化されるなど、食品の衛生管理について注目が集まっています。安全安心な食品や衛生管理に興味がある方には、日本からはじまったJFS規格という言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか?

まとめ

 

2016年に日本から公開された、食品の安全に向けた認証制度です。一般衛生管理から国際取引に使われる規格まで、大企業だけではなく中小企業にとっても取り組みやすい食品安全マネジメントの仕組みのひとつとなります。本記事では、JFS規格についてわかりやすく解説していきます。

 

JFS規格とは

JFS規格は、2016年に日本から始まった食品の安全に対する認証制度です。海外企業との取引も増加する昨今、食品の基準確立に向けて、一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)が運営しています。食の安全は、第三者が公正な目で確認することが重要です。JFS規格は、第三者機関が認証や審査を実施しているため、ガイドラインに沿って食の安全が管理されている証明になるでしょう。

また、JFS規格は仕組み作りだけではなく、食品を作る人の育成や組織全体の管理を目的としています。一般衛生管理から国際基準のレベルまで、自社が必要とするレベルに応じて取得できるのも特徴のひとつです。

 

JFS規格の種類

JFS規格は、求める基準に応じて以下の3種類に分類されます。

 

  • JFS-A
  • JFS-B
  • JFS-C

 

それぞれの特徴を詳しく確認していきましょう。

JFS規格の種類
出典:一般財団法人 食品安全マネジメント協会

種類①:JFS-A

HACCPの考えを基準とし、一般的な衛生管理が中心の規格です。衛生管理を計画・策定し、計画に基づく実施や記録のほか、記録の保管と振り返りが求められます。主に国内での取引を実施する会社向けの規格ともいえるでしょう。

 

種類②:JFS-B

JFS-Bは、JFS-Aの衛生管理に加えて、安全な食品を作るための適正製造規範(GMP)や仕組みづくり(FSMS)という考え方も取り入れなければいけません。最初は難しいかもしれませんが、ガイドラインには解説や具体的な事例が添えられており、わかりやすいように配慮されています。そのため専門的な知識が少ない企業でも、コンサルタントの力を借りれば自分達で自社に適した規格の運用も可能です。

 

種類③:JFS-C

JFS-Cは、GFSI(世界食品安全イニシアティブ)の承認を受けた国際的な認証規格を指します。規格のガイドラインは、HACCP・GMP・FSMSの要求事項に沿ってまとめられているため取り組みやすいのも特徴です。また、科学的な根拠があれば柔軟な対応が可能で、設備投資などコストを抑えながら食品の安全に取り組めます。

 

JFS規格を構成する3つの要素

JFS規格を構成する3つの要素

 

JFS規格は、以下の3つの要素で構成されています。

 

  • 食品安全マネジメントシステム(FSMS)
  • ハザード制御(HACCP)
  • 適正製造規範(GMP)

 

それぞれの要素について詳しく確認していきましょう。

 

要素①:食品安全マネジメントシステム(FSMS)

JFS規格はHACCPの考え方にプラスして、食品安全マネジメントシステム(FSMS)の構築も必要です。FSMSは、食品が安全に製造されるための方針を設定し、マニュアル作りや日々管理している衛生についての文書をどのように保管するかなどの仕組みづくりを指します。食の安全を守るために、組織全体で食品防御や偽装といった問題への対応が必要です。また総合的な食品安全マネジメントシステムを指す、FSMSには、ISO22000やFSSC22000も含まれています。

 

関連記事:ISO22000とは?要求事項や取得できる企業についてわかりやすく解説

関連記事:FSSC22000とは?3つの要求事項と取得できる企業を簡単に解説

 

要素②:ハザード制御(HACCP)

ハザード制御とは、HACCPの考えを取り入れた食品の安全や品質向上を目指した衛生管理の手法です。HACCPの考え方は、危険要因分析(HA)と重要点管理(CCP)に分けられます。危険要因分析とは、微生物や異物の混入の恐れがないか可能性を考え、どうすれば危険性を減らせるのかを管理する方法です。重要点管理は、事故が起こりやすいとされる「加熱・冷却・包装」の各工程で、継続的に管理基準から外れた製品がないか確認しています。どちらの方法も、危険性を除去するためのルールを作り、

 

継続的な管理によって、食品事故の発生を低減・除去が可能です。食品機械に使用する潤滑油を例にとって考えてみましょう。HACCPの基準をクリアしていない潤滑油が食品に混入した場合、製品のリコールが必要になります。リスク軽減のためにも、HACCPの基準を満たす製品の使用がおすすめです。

関連記事:「食品の衛生・安全を守るHACCPとはどんな制度?義務化の時期や手順を解説」

 

要素③:適正製造規範(GMP)

適正製造規範は、食品の安全を守るための基本的な衛生管理です。JFS-A・JFS-B・JFS-Cどの規格においても根底となる考え方で、より安全に製品を製造するため品質を保てるように設定されています。例えば従業員の衛生管理の教育や、施設や装置の環境を整えるためのメンテナンスや検査の実施が代表的です。

 

JFS規格の認証取得フロー

JFS規格の認証取得フロー

 

JFS規格の認証取得までの一連の流れは、大きく分けて3つに分類されます。

 

  • JFS規格の情報収集
  • システム(仕組み)の構築や運用
  • 認証取得から維持

 

まずはJFS規格が何を求めているのか「知る」ために情報収集から始めます。JFS規格のガイドラインや公式サイトを参考に、自社にとって最適な規格を取得しましょう。また自社だけではなく、顧客がどの規格を求めているかも考慮して選定する必要があります。認証取得に向けたプロジェクトメンバーを立ち上げ、仕組みについて従業員への教育や改善提案をもとに見直しを検討してください。システムの構築や運用は、食品の安全についての方針を決定し、目標やスケジュールを定めてマネジメントの仕組みを構築していきます。同時に、ガイドラインに沿ったマニュアルの作成も必要です。認証または適合証明は、JFSMと契約した認証機関や監査会社が実施しています。システム構築の段階で早めに連絡をとり、具体的な手順やスケジュール・費用も確認しましょう。

 

構築されたシステムやマニュアルの運用を開始したら、実際の活動の分析・評価をしながら、マネジメントの仕組みを見直してください。マネジメントの仕組みが問題なく運用できるようになった後、認証機関に連絡をとり、審査・監査を受けます。審査に適合していれば登録証が発行され、認証の有効期限は3年間です。認証取得後もマネジメントの仕組みが適切に継続されているかを確認するために、定期審査や非通知審査が実施されます。

 

JFS規格の認証取得にかかる費用

JFS規格の認証取得にかかる費用

 

JFS規格に必要な費用は、HACCPのプラン・従業員数・扱う製品によって異なります。例えば、20〜30名程度の食品工場の場合では、1年目には150万円程度(ISO22000 とJFS-C同時取得の場合)かかる目安です。(一般社団法人日本能率協会 審査登録センター参照)また、従業員の教育や仕組み構築のための設備投資も必要となるため、審査費用の他に100万円程度必要ともいわれています。審査費用やどのようなサポートが受けられるかは、認証機関・監査会社によっても違うため、慎重な選定が必要です。

 

JFS規格認証を取得するメリット

JFS規格の認証を取得する最大のメリットは、HACCP制度導入によって食品事業者に義務付けられた取り組みに対し、柔軟に対応できる点です。JFS-A・B・Cといった3種類の規格から、対象となる組織の業態や規模、現状の衛生管理レベルに応じたものを選択することで、スムーズに衛生管理の仕組み作りが可能となります。また、JFS規格は一般の衛生管理から国際的な規格まで段階的に到達できるような仕組みになっているため、食品安全規格をはじめて取得する企業でも取り組みやすい制度です。くわえて、日本で作られた規格であるため、ISOなど他の国際規格と比較して、テキストの内容が理解しやすいのも取り組みやすさを後押ししています。

 

もちろん日本国内だけでなく、グローバルな取引を意識して作られた規格(JFS-C)も用意されているため、海外での取引機会増加にも活用可能です。制度の浸透に伴い、大手販売チェーンがメーカーを監査する際、JFS規格を活用するケースも増えているため、取得しておけば第2者監査も効率的にクリアしやすくなります。さらにJFS規格では、認証取得までの作業手順やHACCPプランを現場レベルで可視化するよう要求されるため、経営陣から作業者まで従業員全体の安全・衛生意識を引き上げるのにも効果的です。

 

まとめ

本記事では、JFS規格についての基本的な情報から、認証取得までの一連の流れや費用について詳しく解説してきました。JFS規格は、一般的な衛生管理の方法から国際基準を満たす規格まで段階的に選択でき、事業規模を問わず取り組みやすい規格です。日本ではじまった規格のため、ガイドラインには具体例や解説などわかりやすく配慮されている点も嬉しいポイントといえます。はじめて衛生管理規格を取得する企業でも取り組みやすいため、自社製品の安全性を高めたいのであれば、まずはJFS規格取得を検討してみてください。

 

まとめ

JAX-JAPANでは、HACCPの基準をクリアするNSF H1認証を取得した製品を取り扱っています。JFS規格を取得するには、食品が消費者に届くまでの一連の流れにおける安全・衛生管理が重要です。そのため、食品の衛生管理はもちろん、食品機械の潤滑油にもHACCP基準を満たす製品の使用が求められます。

とくに、JFS‐B以上の取得を目指す場合、HACCP基準を満たす必要があるため、HACCPの危機回避順序Cに該当する「NSF H1規格取得済みJAX JAPAN製品」の使用がおすすめです。気になった方は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修

椎野 博貴

役職

セールスエクゼクティブ

資格

2級潤滑士
2019年 JAX H1 ANNALYSIS検定 修了
2022年 JAX SALES DIRECTOR PROGRAM 修了

JAX JAPANにて大手食品メーカーや機械メーカーを100社以上担当。潤滑油の使い方をより知るために、米国のJAX本社での研修トレーニングに日本代表として参加。食品業界はもちろん、他業界にも提案を広げ、全体管理とH1潤滑油の国内の拡販推進に携わる。