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その他潤滑油 2024.02.15(Thu)

増ちょう剤とは?種類や特徴を分かりやすく解説

増ちょう剤とは?種類や特徴を分かりやすく解説

増ちょう剤は、グリースの基本的な特性を決定する重要な成分です。

 

この記事では、増ちょう剤の機能、種類、グリースの特性に与える影響について詳しく解説します。

 

金属石けん系からウレア系、複合型まで、各種増ちょう剤の特徴も取り上げました。

 

特に増ちょう剤の種類は豊富にあるため、それぞれの特徴を考慮して選ぶ必要があります。

 

増ちょう剤やグリースの成分について、理解を深めたい場合は、ぜひ参考にしてください。

 

増ちょう剤とは

 

増ちょう剤は、グリースの重要な構成成分の一つで、グリースの基本的な構造と特性を決定する役割があります。

 

グリース成分の5〜20%を占めており、金属石けん系、ウレア系、複合型などの種類があります。

 

また、増ちょう剤の種類によってグリースに耐水性、耐熱性、耐圧性など影響を与え、使用環境や使用目的によって選ばれます。

 

増ちょう剤を適切に選ぶことで、グリースが使われる機械のパフォーマンスと寿命に好影響を与えるでしょう。

 

【関連記事】H1グリスとは?NSFの規格と使用する3つのメリット、注意点を解説

 

グリースとは

 

グリースは、機械部品の潤滑と保護に使用される独特の物質で3つの成分から構成されています。

 

ここでは、グリースを形成する3つの成分を詳しく解説します。

 

グリースを形成する3つの成分

グリースを形成する成分は以下の3つです。

 

  1. 基油(原料油)
  2. 増ちょう剤
  3. 添加剤

 

それぞれにどのような特徴があるのかを解説します。

 

成分①:基油(原料油)

基油はグリースの主要成分で、潤滑性能を決定します。

 

基油の種類には鉱物油、合成油、植物油などがあり、各々が異なる特性があります。

 

鉱物油は広く使用され、優れた潤滑性とコストパフォーマンスの高さが特徴です。

 

合成油は特定の温度範囲や化学的安定性が要求される場合に選ばれ、高温や低温環境、化学的な攻撃に対する耐性があります。

 

植物油は環境に優しい選択肢で、生分解性が高く、一部の用途で優れた潤滑性の高さを持ちます。

 

基油はグリースの全体的な特性に大きく影響し、適切な種類の選択は用途に応じて非常に重要です。

 

成分②:増ちょう剤

増ちょう剤はグリースの重要な構成成分で、グリースの繊維状の構造を形成し、油を保持することで半固体状態を維持します。

 

外力が加わると流動し、止まると再び半固体状に戻ります。

 

この特性は増ちょう剤の網目構造によるもので、機械的安定性や耐温度性に影響を及ぼしています。

 

高温や強いせん断力はこの構造を破壊し、グリースの性能を低下させる可能性があるでしょう。

 

適切なグリースの選択は使用環境に基づいて行う必要があります。

 

成分③:添加剤

グリースの添加剤は、潤滑性、耐久性、および保護性を高めるために不可欠です。

 

具体的には、防錆剤、抗酸化剤、耐荷重添加剤、摩擦改良剤などがあります。

 

添加剤の種類 特徴
防錆剤 金属部品の錆や腐食を防ぐ。水や湿気による損傷から保護する。
抗酸化剤 グリースの酸化を遅らせる。長寿命を保証し、性能劣化を防ぐ。
耐荷重添加剤 高負荷条件下での摩耗を減少させる。極圧条件での潤滑性能を向上させる。
摩擦改良剤 摩擦係数を低減し、動作を滑らかにする。摩耗を減少させる効果もある。

 

上表のように添加剤はグリースの性能を最適化し、特定の使用条件に合わせて使い分けられます。

 

グリースの品質と性能を向上させるため、適切な添加剤の選択が重要です。

 

【関連記事】グリースとは?潤滑油との違いや求められる5つの性能、種類を徹底解説

 

増ちょう剤の種類はグリースに影響を及ぼす

 

増ちょう剤はグリースの重要な成分で、潤滑油(基油)を保持し、独特の半固体の性質があります。

 

増ちょう剤は、主に金属石けんが使用され、電子顕微鏡で見ると網の目のような繊維構造です。

 

この構造により基油が保持され、潤滑性が保たれます。

 

仮に網の目が破壊されると、グリースは潤滑性を失います。

 

増ちょう剤は熱や水に強いもの、特定の温度範囲に適したものなど、さまざまな種類がありグリースの性質を左右します。

 

例えば、リチウム石けん系は120℃以下、ウレア系は120℃以上の環境で使用され、カルシウム石けん系は80℃以下で水にさらされる環境に適するなどさまざまです。

 

さまざまな機械的要件や環境条件に合わせ、適切な増ちょう剤を選ぶことが重要です。

 

増ちょう剤の種類と特徴

 

増ちょう剤にはさまざまな種類があります。

 

  • 金属石けん系
  • 複合型
  • ウレア系
  • 有機系
  • 無機系

 

それぞれの増ちょう剤の特徴を見ていきましょう。

 

金属石けん系

金属石けん系は、以下のようなものを混ぜて作られるグリースです。

 

  • 鉱油
  • 合成油
  • リチウム
  • カルシウム
  • ナトリウム

 

金属石けんは、脂肪酸と金属塩基のケン化反応によって生成されます。

 

金属石けん系グリースは、耐水性や耐熱性に優れており、一般的な機械部品や自動車のベアリングなどに広く使われているのが特徴です。

 

また、種類によって、グリースの性能が異なります。

 

例えば、カルシウム石けんは水に強いですが、高温に弱く、80℃以上では硬化します。

 

リチウム石けんは高温に強いですが、水に弱く、水中で乳化するのが特徴です。

 

複合型

複合型は、石けん系の耐熱性を向上させた種類で、高級脂肪酸と他の有機物を組み合わせて作られています。

 

コンプレックスとも呼ばれ、いくつかの種類があります。

 

例えば、カルシウムコンプレックスは高級脂肪酸と低級脂肪酸の組み合わせで耐熱性を向上させた増ちょう剤です。

 

アルミニウムコンプレックスは、高級脂肪酸と芳香族カルボン酸を組み合わせた種類で、耐熱性や耐水性に優れる点が特徴です。

 

リチウムコンプレックスは、高級脂肪酸と二塩基酸を組み合わせた増ちょう剤です。

 

ウレア系

ウレア系は、アミンとイソシアネートの反応から生成され、ウレア結合を含む化合物です。

 

金属を含まず酸化の触媒とならないため、高温用グリースとして適しているのが特徴です。

 

日本では、特にジウレアグリースが生産され、使用するアミンによって性質が異なります。

 

芳香族アミンを使用したグリースは高温長寿命用途に、脂肪族ジウレアは万能タイプとして用いられています。

 

ちなみにウレア系グリースのシェアは日本のグリース生産量の約15%です。

 

有機系

有機系にはナトリウムテレフタラメートやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)があり、特にPTFEは熱、水、剪断に対して高い安定性があります。

 

他にもPFPE(パーフルオロアルキルエーテル)やナトリウムテレフタラメートなどが挙げられます。

 

PFPE(パーフルオロアルキルエーテル)を基油とするフッ素グリースは高価です。

 

ナトリウムテレフタラメートについては、金属基含有であるため、酸化や劣化が大きい点がデメリットといえるでしょう。

 

無機系

無機系には有機化ベントナイトやシリカゲルなどが挙げられます。

 

有機化ベントナイトは、滴点のないグリースであり、耐熱性に優れています。

 

短期間の高温使用でも有効な種類です。

 

シリカゲルは、防錆性に劣る点がデメリットですが耐熱性に優れます。

 

他にもクレイがあり、適度の潤滑性が特徴です。

 

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増ちょう剤は、グリースの特性を決める成分であり、さまざまな種類があります。

 

用途などに応じて適切に使用することで、効果を最大限に発揮できます。

 

しかし、増ちょう剤の選び方などに迷う場面もでてくるでしょう。

 

また、できるだけ費用を抑えて導入したい場合は、多目的に使用できるグリースがおすすめです。

 

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NSF H1潤滑油は、公衆衛生・環境に関する事業を行う第三者機関「NSF」が定める「H1規格」の食品機械用潤滑油です。

 

「FDA(アメリカ食品医薬品局)」から認定された安全性の高い原材料のみを使用しており、オイル混入のリスクも提言できます。

 

また、ギヤ油はもちろんのこと、チェーンオイルや油圧作動油など用途に合わせた製品ラインナップとなっていますので、ぜひご確認ください。

 

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この記事の監修

椎野 博貴

役職

セールスエクゼクティブ

資格

2級潤滑士
2019年 JAX H1 ANNALYSIS検定 修了
2022年 JAX SALES DIRECTOR PROGRAM 修了

JAX JAPANにて大手食品メーカーや機械メーカーを100社以上担当。潤滑油の使い方をより知るために、米国のJAX本社での研修トレーニングに日本代表として参加。食品業界はもちろん、他業界にも提案を広げ、全体管理とH1潤滑油の国内の拡販推進に携わる。