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その他潤滑油 2022.12.07(Wed)

潤滑油の粘度とは?用途別一覧と動粘度・粘度指数の詳細をプロが解説

潤滑油の粘度とは?これを知れば”良い潤滑油”が分かります!

潤滑油の粘度は、機械寿命に大きな影響を与える重要な要素です。
機械の長期的な安定稼働を実現するためには、自社の潤滑環境に合った適切な粘度の潤滑油を選定する必要があります。

 

しかし「自社にとって最適な粘度の潤滑油をどのように選んだら良いか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、潤滑油の粘度について詳しく解説します。

動粘度と粘度指数の違いやグレード別・用途別の粘度一覧、選定時のポイントも紹介するので、潤滑油の選定でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

 

潤滑油の粘度とは

潤滑油の粘度とは

 

潤滑油の粘度とは、油が「さらさらしている」あるいは「ネバネバしている」といった状態を示す数値です。
さらさらの油を低粘度、ネバネバの油を高粘度といいます。

 

潤滑油の粘度は、油膜の厚さを決定する重要な要素です。
一般的に粘度が高い潤滑油ほど形成する油膜も厚く、粘度が低いと油膜が薄くなる傾向にあります。

 

チェーン・摺動部の速度や製造環境によって、適切な油膜を形成することが機械部品の保護と長寿命化につながるでしょう。

 

【関連記事】潤滑油の油膜とは?自社機械の長寿命化を実現する高性能な製品を紹介

 

潤滑油の動粘度・粘度指数とは

潤滑油の動粘度・粘度指数とは

 

潤滑油の粘度について理解を深めるためには、動粘度と粘度指数という2つの概念を把握しておく必要があります。
ここからは、動粘度と粘度指数についてそれぞれの意味や違いを詳しく解説します。

 

潤滑油の粘度は「動粘度」という単位で表す

潤滑油の粘度は、動粘度(kinematic viscosity)という単位で表すのが一般的です。

 

動粘度は、粘度をその液体の密度で割った値です。
潤滑油は「ISO VG」という国際規格で動粘度ごとにグレード分けされています。

 

潤滑油を選ぶにあたって、この「ISO VG」は非常に重要な要素です。
ISO VGの後に続く数字は、温度が40℃の時の動粘度の値を指しています。

 

例えば、弊社の製品「パイロコートFG220」の場合、動粘度220の製品となります。
パイロコートFGの性能や導入メリットを詳しく知りたい方は、以下のYouTube動画をご確認ください。

 

 

温度に対する粘度変化の度合いを示すのが「粘度指数」

粘度指数は、潤滑油の温度に対する粘度変化の度合いを表します。
粘度指数が大きくなるほど温度変化に強く、粘度が変化しにくい潤滑油です。

 

なお、動粘度(kinematic viscosity)と粘度指数(viscosity index)は、全く別の概念です。
例えば、同じ動粘度の潤滑油でも粘度指数は異なる場合があります。

 

 

上図のように、40℃の時は同じ動粘度でも、温度変化によって潤滑油の粘度は変化します。

 

【関連記事】粘度指数とは?計算方法や粘度指数向上剤のメリット・デメリットを解説

 

【規格・グレード別】潤滑油の粘度一覧

工業用潤滑油および関連製品の40 ℃における動粘度は「ISO粘度分類」によって、以下のように規定されています。

 

SO粘度グレード番号 中心値の動粘度 mm2/s (40℃) 動粘度範囲 mm2/s (40℃)
ISO VG 2 2.2 1.98~2.42
ISO VG 3 3.2 2.88~3.52
ISO VG 5 4.6 4.14~5.06
ISO VG 7 6.8 6.12~7.48
ISO VG 10 10 9.00~11.0
ISO VG 15 15 13.5~16.5
ISO VG 22 22 19.8~24.2
ISO VG 32 32 28.8~35.2
ISO VG 46 46 41.4~50.6
ISO VG 68 68 61.2~74.8
ISO VG 100 100 90.0~110
ISO VG 150 150 135~165
ISO VG 220 220 198~242
ISO VG 320 320 288~352
ISO VG 460 460 414~506
ISO VG 680 680 612~748
ISO VG 1000 1000 900~1100
ISO VG 1500 1500 1350~1650
ISO VG 2200 2200 1980~2420
ISO VG 3200 3200 2880~3520

引用:日本工業規格|工業用潤滑油−ISO粘度分類

 

工業用ISO粘度分類では、2〜3,200mm2/sまでの20グレードで動粘度が区分されているのが特徴です。

 

【用途別】潤滑油の粘度一覧

適切な潤滑油の粘度は、用途によっても変化します。
主な潤滑油の種類と粘度の目安は、以下の通りです。

 

機械の長寿命化と安定的な稼働を実現するためにも、自社の用途・環境に適した粘度の潤滑油を選びましょう。

 

潤滑油の種類 粘度の目安
工業用機械油 1種 ISO VG 32〜460
2種 ISO VG 68〜3200
ギヤ油 1種 ISO VG 32〜460
2種 ISO VG 68〜3200
タービン油 無添加1種 ISO VG 32〜68
添加2種 ISO VG 32〜100
油圧作動油 ISO VG 15〜150
多目的油 ISO VG 2〜460
コンプレッサーオイル ISO VG 32〜100

【関連記事】工業用潤滑油の種類・粘度・選び方を徹底解説!最適な潤滑油を見つけよう

 

潤滑油の粘度を選定する際のポイント

潤滑油の粘度を選定する際のポイント

 

潤滑油の粘度を選定する際は、以下の2つのポイントを意識しましょう。

 

  1. 潤滑箇所の運転温度
  2. 摺動部にかかる負荷・回転速度

 

ここからは、各ポイントの詳細を解説します。

自社機械に最適な粘度の潤滑油を選定したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

ポイント①:潤滑箇所の運転温度

潤滑油の選定時には、潤滑箇所の運転温度に適した粘度の製品を選ぶ必要があります。

 

前述した通り、潤滑油の粘度は温度によって変化します。
気温の変化や機械の動作によって潤滑箇所の温度が上昇すると、潤滑油の粘度が低下し、適切な厚みの油膜を形成できなくなる可能性が考えられるでしょう。

 

一方、潤滑箇所の温度が低下すると、潤滑油の粘度が上昇し、機械の作動や安定的な運転の妨げになる恐れがあります。

 

そのため、潤滑箇所における最高温度と最低温度を確認したうえで、最適な粘度、および粘度指数の高い潤滑油を選定しなければなりません。

 

なお、JAXJAPANでは、高温から低温まで温度下で潤滑性能を発揮する各種潤滑油を取り揃えています。
高い耐熱性・耐寒性を誇る潤滑油をお探しの方は、下記の「耐熱商品ラインナップ」をご確認ください。

 

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パイロコートFGを導入したお客様の声

パイロコートFGを実際に使用したお客様は、以下のような効果を実感されています。

 

◾️食品工場の搬送チェーン、焼成工程(雰囲気温度220℃前後)

 

他社オイルを使用していましたが、スラッジ(画像、黒液状)が発生していました。
スラッジは、チェーンに固着、ローラーが回転不良になり、チェーンの交換か業者清掃を検討していました。
パイロコートFGを使用した結果、固着したスラッジを落とし、ローラーが回転するようになりました。
チェーン交換頻度は、6ヵ月長くなり、コスト削減にもつながっています。

 

熱による潤滑油の劣化やスラッジの発生にお困りの方は、パイロコートFGの導入をぜひご検討ください。

 

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ポイント②:摺動部にかかる負荷・回転速度

自社で使用する潤滑油の粘度を選ぶ際は、摺動部にかかる負荷・回転速度を確認しておく必要があります。

 

摺動部とは、軸受や歯車といった互いに接触しながら滑るように動く部分のことです。
基本的に潤滑油は、摺動部に油膜を形成し、摩擦・摩耗から部品を守るために使用します。

 

潤滑油の粘度が高ければ高いほど、厚い油膜を形成できるため、摩擦に対する保護性能も高いのが特徴です。
ただし、その分抵抗も大きくなるため、必要以上に油膜が厚いと発熱や動力の損失を引き起こす原因になります。

 

一方で、油膜が薄いと潤滑性も低下するため、摩耗の進行や焼き付きにつながりかねません。

 

一般的に高負荷または低速回転する箇所を潤滑する場合は、高粘度の潤滑油が適しています。
対して、低負荷または高速回転する摺動部は、低粘度の潤滑油がベターです。

 

自社の機械を守るためにも、摺動部の回転速度や部品にかかる圧力・負荷を確認したうえで、最適な粘度の潤滑油を選びましょう。

 

なお、JAXJAPANでは、圧力や負荷がかかるハードな潤滑環境でも高いパフォーマンスを発揮できる潤滑油をご用意しています。
自社機械の長寿命化につながる高性能な製品をお探しの方は、下記の「耐荷重商品ラインナップ」をご確認ください。

 

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潤滑油の粘度に関するよくある質問

潤滑油の粘度に関するよくある質問

 

ここからは、潤滑油の粘度に関するよくある質問とその回答を紹介します。

 

潤滑油の粘度が高いとどのようなトラブルが発生する?

自社機械の潤滑条件や環境に対して、潤滑油の粘度が高すぎると必要な力量が高くなり、動作開始に支障が出てきます。

 

機械の動作に必要な動力が増えると、部品の劣化が早まったり、エネルギーコストが増加したりする可能性が考えられます。

 

一方で、使用した潤滑の粘度が低すぎる場合、金属面同士の接触が高くなり、部品の交換頻度が増加しかねません。

 

したがって、機械の用途ごとに、適切な厚みの油膜を形成できる粘度の潤滑油を選定することが大切です。

 

グリースにも粘度はある?

液体の潤滑油と同様に、半固形のグリースにも粘度は存在します。
ただし、グリースの柔らかさは、粘度ではなく「ちょう度」で示すのが一般的です。

 

グリースの粘度やちょう度との違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

 

【関連記事】グリースの粘度とは?ちょう度との違いや動粘度・粘度指数について解説

 

最適な粘度の潤滑油をお探しなら

 

潤滑油の粘度とは、オイルの柔らかさや流れやすさといった状態を示す数値であり、油膜の形成に関わる重要な要素です。

 

常に適切な油膜を得るためには、温度が変わっても動粘度が変化しにくい潤滑油を選定する必要があります。

 

なお、粘度指数が高く、幅広い環境で安定的に活用できる潤滑油をお探しの方は、ベースオイルに合成油を使用した製品がおすすめです。

 

JAX製品は合成油がベースオイルなので、熱や水による動粘度の変化が起きにくく、しっかり油膜をつくりチェーンを保護します。
無料サンプルもご用意していますので、興味のある方はお気軽にJAX JAPANまでお問い合せください。

 

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また、JAXJAPANでは、チェーンオイル以外にもさまざまな用途や、環境に対応した高性能な潤滑剤を多数取り扱っています。
自社に最適な潤滑剤をお探しの方は、以下の「商品ラインナップ」をご確認ください。

 

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